VOICE

2020年掲載

一般番組美術進行

番組美術制作

2016年入社

「美術進行」という立場でテレビセットに関わる

学生のときは空間デザインを専攻し、学んでいた中で一番興味を持ったのがテレビセットのデザインです。
しかし自分は将来本当にデザイナーとしてやっていけるのか悩んでいた時、偶然NHKアートの美術進行という仕事を知りました。
「テレビのセットに“美術進行”という立場で関わっていけるのならぜひやりたい!」と思ったのがきっかけです。

そもそも「美術進行」とは・・・

NHKではテレビ番組を「ドラマ番組」「報道番組」「一般番組」の3つに大きく分けていて、私は一般番組で美術進行を担当しています。
一般番組とは分かりやすく言うとドラマと報道以外のすべての番組です。その内容はとても幅広く、トーク番組から人形劇、コントや、教育番組からドラマ手法を用いたドキュメンタリーまで、数多くの番組を担当しています。
美術進行は、番組演出のみなさんやセットデザイナーのみなさん、技術(撮影・照明・音声など)のみなさんなどの窓口となり、「こんな世界にしたい」「こういったもの作れませんか」という要望を受け、実現させるのが仕事です。
しかし一人で作るのではなく、様々な分野の美術のプロフェッショナルに協力をお願いして実現してもらうのです。
大道具・小道具・衣裳やメイクなど、画面に映るもの全てにおいて「美術」です。
私たち美術進行の大切な仕事は、準備~収録~撤収までこの「美術」各チームの仕事がスムーズに進むよう細部まで話し合い段取りを組むことです。
図面やイメージの世界にあるものを実際の形にしていくことは決して簡単ではありませんが、その過程はとても刺激的でワクワクするもので、上手くいったときの喜びはひとしおです。

番組の作り手の思いを「美術」の立場からお茶の間へ届けるために

今、担当している番組のひとつは『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』(Eテレ 毎週月曜~金曜 午後5時45分)という番組です。食の知識やお料理の基礎を子どもたちに楽しく学んでもらうために制作されています。
この番組はアニメと実写料理パートで構成されており、実写の美術進行を担当させてもらっています。
スタジオ収録のセットは、「キッチンラボ」といって、出演者がアニメから飛び出してお料理をするためにラボに来るという設定です。
アニメ制作の方が描いてくださったセットの原案を再現するにはどんな素材を使うといいのか、どんな見せ方がいいのか、予算管理と納品までのスケジュール管理まで含めて細かく検証します。
また数年間使い続けるための耐久性や安全性も必ず考えます。
もちろんセットだけでなく、各放送回の演出に合わせた様々なものの手配をします。子供向けで放送時間も短いため、テレビの前のお子様たちにとってすぐに分かる「おもしろさ」や「楽しさ」を大切にしています。

たくさんの人の力で よりよい美術制作を目指して

美術進行は「人 と 人」をつなげ、みんなで「美術」を作り上げる仕事です。
NHKアートが関わる仕事の中には、大河ドラマやNHK紅白歌合戦など規模が大きな番組もたくさんあります。どんなに目まぐるしい現場でも、どんなにレベルの高い仕事でも、たくさんの方々と何度も話し合いを重ね、作り上げ、無事に収録を終えることができた時は何とも言えない達成感があります。
そしてテレビの黎明期からテレビ美術に関わってきている会社なので、大先輩から勉強させてもらえることがとても多いです。同時に、自分の個性やちょっとした知識がきっかけになって思いがけない美術制作につながることもあります。
経験を重ね、成長しながら自分らしく続けられる仕事だと感じています。