COLUMN

2021年8月掲載

かかせない脇役ー建具の世界はおくぶかい ーその1ー

こんにちは。
NHKアートの広報担当です。

今回のコラムでは、ドラマに欠かすことができない建具のおくぶかい世界を紹介します。
イメージしてみてください。あるドラマの部屋に入ってみましょう、そうソレ。
そこで開ける扉が建具です。

「建具」とひとことで言っていますが、いろいろな種類があります。
そうですね、まず襖や障子。そうそう、ドアや窓も建具です。日本家屋にある欄間(らんま)にはめて、採光や調光する建具もあります。

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年放送/稲葉山城のセットより)

そしてそれらの建具をドラマのセットにする場合には、現在の私たちの家で見ることができるような建具だけでなく、少し前の昭和の建具や、江戸時代や室町時代の建具も必要になりますよね。

NHK連続テレビ小説『なつぞら』(2019年放送/柴田家のセットより)

建具の種類、時代の区別。これだけですでに幅の広さがおくぶかいです。
でも建具のおくぶかさ、これだけではありません。

例えば江戸時代のドラマにはいろいろなセットが出てきます。
城のセットや奉行所、ぜいたくな作りの豪商のセット、小間物屋のような商家、そして長屋のセットもよく見ますね。
どんな立場や身分の人が住んだり仕事をしたりするのかによって、設えられるセットに使われる建具も異なってきます。
豊かな商家の障子はいつも整えられて真っ白だろう。毎日の生活を忙しく暮らす長屋の障子はそんなにいつもきれいに取り替えることはできないだろう。きっと切り貼りしているだろう。
同じ障子でも、表情を変えて時代ごとの世界観を表現しています。

上の写真の障子は、建具チームがさまざまな技術をつかって長屋の障子を表現しています。

ますますおくぶかくなってきました。
おくぶかくなりすぎて迷子になりそうなので、今回はここまで。

次回の建具編では、そのおくぶかさがどのように作られているか。ズズっとのぞいてみたいと思います。

それでは次回もお楽しみに!