COLUMN

2021年10月掲載

セットも本物志向!世界観を作り出す造画の技

こんにちは。
NHKアート広報担当です!

今回のテーマは前回に続き「造画の技~木目の表現~その2」です。

前回、「マルエム」という道具を使ってセットに使われる素材に塗装の技術を施して木名をきれいに表現する技をご紹介しました。

※「変哲もない"ベニヤ板"が"年季の入った板"に大変身」は コチラ

今回は、高画質の4K放送でも画面を通してセットが違和感なく見えるように木目を表現する「浮造り」(うづくり)という技をご紹介します!

4K・8K放送では、従来の放送よりも画質も格段に上がり、画面に映るセットもより細かい質感まで映るようになりました。
それに伴いセットも"本物志向"が強くなっています。
例えば時代劇セットに使われる柱1本をとっても、その場面に合った質感が求められます。

そこで現在主流として使われる技が今回ご紹介する「浮造り」という塗装の技です。

こちらをご覧ください。

前回掲載したものと、どこが異なっているでしょうか?

一番の違いは「表面のデコボコ」です。
この浮造りという技は、まず木材表面のやわらかい部分だけを削り、木目のデコボコを強調します。

その後、劇中の場面に合うように塗料を調整しながら、色を着けていきます。

木材のやわらかい部分が塗料をしっかり吸うことで、色のグラデーションが着く仕組みです。

するとどうでしょう!前回ご紹介した「マルエム」を使用して作成したものよりもさらにはっきりと木目が現れます!

これに場面に合った傷や汚れを付けていき、ドラマの世界感を作り上げていきます。

時代劇に出てくる立派なお屋敷の中の柱、外のシーンに登場してくる柱・・・
それぞれの場面や時代設定で、そこに合う柱を表現することが以前よりも求められてくる中で、このような技術が現在のよりリアルで違和感ないセットを作り出しています。

NHK大河ドラマ『青天を衝け』(2021年放送/江戸城会議室のセットより)

テレビを見る際に「あれってどうやって作っているんだろう?」「本物なのかな?」と少し視点を変えて見てみると、また違ったテレビの楽しみ方ができるかもしれません!

それでは次回のCOLUMNもお楽しみに!