COLUMN

2021年8月掲載

あれってどうなっているの?―劇中で使われるスマホ画面制作の裏側!

こんにちは!NHKアート広報担当です!
今回のテーマは「劇中で使われるスマホ画面」について。
ふだんは見ることのできない撮影の裏側を、美術の目線からお伝えします。

では早速、下の写真を見てください。

画像提供:NHK

こちらの写真は2020年大河ドラマ『麒麟がくる』…ではなく、同時期に放送されていた同じ明智光秀を主役としたドラマ『光秀のスマホ』のワンシーンです。

主役である明智光秀を演じる山田孝之さんの顔は一切映らず、スマホ画面だけで物語が進行していくという新たな手法で制作されたこのドラマは、数々の賞を受賞しました。

劇中では、宿敵・秀吉とのコミカルなメッセージのやり取りや、上司・織田信長からかかってくるお叱りの電話、増えたり減ったりするフォロワーの数に一喜一憂する様子など、私たちがふだん持っているスマホを通して、明智光秀が送った激動の生涯をより身近に感じることができました。

このように物語の大半を占めるスマホの画面ですが、「文字を打つときに打ち間違いが起こらないの?」という疑問を持ったことはありませんか?

出演者の方がいくらふだんからスマホを利用しているとはいえ、打ち間違いの1つや2つはありますし、打ち間違いのたびに取り直していては、収録に時間がかかってしまいますよね。

そこでNHKアートが開発した「デジタル画面表示システム」の出番です。

「デジタル画面表示システム」というのは、下図のような仕組みです。

あらかじめデザインしたスマホの画面を表示し、PCから表計算ソフトを使って入力内容を編集し、リモート接続したキーボードで演技に合わせタイミングで入力されるようにする、というものです。

この仕組みを使って、事前に用意した入力内容がどこをタッチしても入力されるようにしておけば出演者の方も演技に集中できますし、入力内容は表計算ソフトからいつでも編集できるので撮影中に急な変更があった場合でも迅速かつ容易に対応することができます。

近年の急速なスマホの普及によって、現代がモチーフの作品ではスマホを使った演出は欠かせないものになっています。今回は特殊な時代劇に用いられたこの技術ですが、今後はもっと出番が増えていくかもしれません。

これからドラマを見る際には、内容はもちろん、劇中で使われるスマホの画面も注目してみてください!

それでは次回のCOLUMNもお楽しみに!